セクション01 · 知見 · 技法ノート

修復コラム。

Kozo Kono のアイデアルアンティーク修復が、38年の現場で培ってきた知識と気づきをお伝えします。漆、家具、陶器、そして金継ぎの奥深い世界へ。

漆と季節
注目 2025.10.15 7分で読了

漆器修復に最適な季節と、湿度管理の真実

漆器の修復には、実は「季節」が大きく影響します。京都の工房で38年、Kozo Kono の漆芸士が現場で培ってきた湿度と温度の知識を、初めて公開します。梅雨時期の2週間延長、夏場の硬化時間短縮の秘訣など——お宅でできる漆器ケアにも応用できる内容です。

日本の漆器は、湿度60〜70%、温度20〜25℃で最も美しく硬化します。これは漆の主成分であるウルシオールが、この環境でゆっくりと酸素と結合して硬化するからです。

京都の工房では、梅雨時の湿度80%以上でも漆が白く濁らないよう、専用の除湿機を3台体制で稼働させています。逆に冬場の乾燥時期は、加湿器と温風機で湿度を65%前後に保つ必要があります。

Kozo Kono では、湿度管理が完璧でない場合は、漆の重ね塗りを1回増やして硬化時間を長めに取る工夫をしています。これは「漆に合わせる」という、伝統的な考え方の現代版です。

ご家庭での漆器ケアとしては、食器棚の湿度を50%前後に保つことが大切です。直射日光と暖房の風を避け、年に1〜2回は柔らかい布で乾拭きしてください。

木材の季節変動
2025.09.28

100年家具の「木の動き」を読む

婚礼タンスが「秋になると引き出しが固くなる」「春になると緩む」のは、木の呼吸によるものです。Kozo Kono の木工主任が解説します。

木材は含水率の変化で寸法が変わります。冬の乾燥期には0.5%程度収縮し、夏の高湿期には膨張します。これが100年もの家具になると、累積で2〜3mm動くことがあります。

Kozo Kono では、修復時にこの「木の動き」を計算に入れて、接合部に遊びを作ります。きつく仕上げると、必ずと言っていいほど1年以内に割れや反りが発生します。

ご家庭では、引き出しのレールにロウソクをこすると動きが滑らかになります。市販のシリコンスプレーは木材を痛めるので避けてください。

金継ぎの金
2025.08.12

純金粉と金箔の違い

金継ぎに使われる「金」には、実は純金粉・金箔・合金など複数の種類があり、それぞれ耐久性と質感が異なります。

Kozo Kono の金継ぎでは、24K純金粉のみを使用しています。金箔は薄く貼り付けるため強度に劣り、合金は5年で変色します。

純金粉は漆に練り込んで使うため、100年経っても剥がれることなく、味わい深い光沢を保ち続けます。

2025.07.20

自分でできる応急処置

婚礼タンスの引き出しが外れた、漆椀にヒビが入った——そんな時、専門家に持ち込むまでの応急処置をKozo Kono が解説します。

婚礼タンスの引き出しが外れた場合:無理に戻さず、レール部分を柔らかい布で覆い、工房にお持ち込みください。

漆椀にヒビが入った場合:瞬間接着剤は絶対に使わず、和紙で覆って湿気の少ない場所で保管してください。

婚礼家具の水濡れ:すぐに乾いた布で水分を拭き取り、風通しの良い場所で陰干し。直射日光は避けてください。

2025.06.05

修復費用が決まる5つの要素

Kozo Kono の見積もりが決まる、5つの評価ポイントを公開します。素材、年代、寸法、症状の程度、そして希望する仕上がり。

1. 素材:漆器、陶器、木材、金属によって基本料金が異なります。

2. 年代:明治〜大正期の本格アンティークは、技法が重なり難易度が高くなります。

3. 寸法:箪笥一棹 vs 引き出し一段で、工程数が10倍違います。

4. 症状の程度:表面的な剥がれ vs 構造的破損で、修復工程が大きく変わります。

5. 仕上がり:「使い込まれた風合いを保ちたい」 vs 「新品同様に蘇らせたい」で、工程が分かれます。

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